■この記事を書いた人
名前:まふかず
仕事:東証プライム上場で数千人規模のIT企業 / 法人営業10年目 / 80%在宅勤務
転職:〇〇の秘書→田舎の広告営業→IT企業
特徴: ITの最新情報が好き / 技術ゼロの文系
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今回のテーマは「インターネットの仕組みと基礎知識」です。
インターネットの仕組みを一言でいうと
です。
人に説明する場合、
「全てのIT機器は光の仲間を使って情報のやり取りをしているよ。
光の速さで情報を送受信できるけど、使う機器の性能や通信量の影響は受けるよ。」
と話します。
この記事を読むと、
なんとなくしか知らなかったインターネットの仕組みと基礎知識について理解でき、
人に説明ができるようになります。
インターネットとは?
インターネットとは何かを説明するために、
言葉の意味と誕生してから今までの歴史を簡単に解説します。
ネットワークとは?
初めに、インターネットとはネットワークの一種です。
ネットワークとは網目状に張り巡らされた仕組み
のことです。
人脈、連絡網や交通網はネットワークと呼べます。
ここで解説するネットワークとは
情報機器(パソコンやスマホ)の間(inter)に張り巡らされた
網(net)
つまり、インターネット(internet)についてのことです。
インターネットの歴史
インターネットの始まりは、
1969年にアメリカ国防高等研究計画局
(DARPA=Defense Advanced Research Projects Agency)
が通信に成功させた
「ARPANET(アーパネット)」
だと言われています。
1983年、この通信方法を世界標準に規格化した
「TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)」
が誕生し、
ARPANETでも置き換えられました。
プロトコル(Protocol)とは共通言語のことです。
インターネット上の情報送信をコントロールする共通言語として
今でも利用されています。
日本では1984年に東京大学、東京工業大学、慶応義塾大学間を結ぶ
JUNET(Japan University NETwork)
として初めて利用されました。
その後、1990年にARPANETが役目を終え
1993年に日本国内で、IIJによりインターネットの商用サービスが始まりました。
インターネットと一般消費者を繋いだ機器やサービス
1995年にマイクロソフトがWindows95を発売し、
一般消費者でもパソコンを手に入れて利用することが可能になりました。
1999年には電話線を使ってインターネットへ接続ができるようにする
「ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)」
(※アップロードとダウンロードの通信速度が(アシンメトリック=非対称)の通信ケーブルを組み合わせた通信回線)
と
携帯電話対応のインターネット接続サービスである
「iモード」(NTTドコモ)
が提供開始されました。
そして、2007年にAppleから最初の「iPhone」が発表され、
翌2008年に「iPhone 3G」が日本国内でも発売されました。
その後もモバイル通信システムは進化を続け、
2012年の4G通信、2020年に5G通信が提供され
2030年頃には6G通信の提供開始が予定されています。
このように、インターネットの誕生以降、
様々な技術や機器、サービスの普及により
誰でもその恩恵が受けられる世界となりました。
インターネットの仕組みとは?(メインテーマ)
光の速度で届く情報(電波=光)
では、インターネットはどのような仕組みで通信をしているのでしょうか。
最も重要なキーワードは「光」です。
ケーブルを繋いだ有線通信、
スマホやWiFiの無線通信、
どちらも共通して「電波」を使って情報通信をしているのですが
【電波=電磁波=光】
です。
電磁波というと得体が知れないもののようなイメージですが、
つまりは波長のことで、
波の多い少ない、長い短いといった違いで
種類に違いが生まれます。
これを「周波数」(ヘルツ=Hz)と呼びます。
人の目で受信できるものを光とか色と呼び、
「可視光線」(見える光の波長)
と言います。
人の目では受信できないが、他の動物やアンテナなどの装置は受信できるものを
「不可視光線」(見えない光の波長)
と言います。
赤外線や紫外線のことで、虹の両端より外にある周波数の色のことです。
電流によって波が生まれ、空気を伝わってまた電流を生む
これが電波の仕組みです。
世界中にある
情報を含んだ波を起こす装置と
情報を含んだ波から情報を受け取る装置の
間を繋ぐものがインターネットです。
【電波=光】
ということは
光の速度と同じ
約30万km/秒(1秒で地球7周半)
で電波は届きます。
メールや電話が一瞬で届く仕組みは
情報(電波)を送る装置(パソコンやスマホ)
から
様々な装置を経由して
情報(電波)を受け取る装置(パソコンやスマホ)
に届く、ということです。
文字通り光の速さで情報を通信しているので、
一瞬でやり取りをしているように感じます。
そして、これらの装置の性能により
速度に差異が生まれています。
情報が伝わるルート(スマホからスマホへLINEを送る場合の例)
では、どのように情報(電波)が伝わっていくのでしょうか。
スマホからスマホへLINEメッセージを送る例でたどってみます。
①スマホから電波を送る
スマホにメッセージを入力し送信ボタンを押すことで
「今このスマホAからLINEのアプリでこういうメッセージをこの相手のスマホBに送る!」
という情報を含んだ電波を、スマホが発生させます。
この情報と、送信に必要な情報(宅急便の伝票や宛名を書いた封筒みたいなもの)
をある程度まとめてセットにしたものを
パケット(=小包)
と呼びます。
そして、そのデータ量を
バイト(=Byte)
で表します。
1GB(ギガバイト)は約10億バイトです。
この電波は、例えばソフトバンクの回線を契約していた場合、
ソフトバンクの電波を受信できる「基地局」へ送られます。
電波の届く範囲に基地局が無い状態、または届けられない状態を
「電波が無い」と言っています。
(本当は電波はあるのですが)
②基地局からインターネットへ電波を送る
スマホから送られた電波を受信した基地局は、
「交換局」と呼ばれるところへ電波を転送します。
交換局では受信した電波が
音声なのか、映像なのか、文字なのか
どこへ送るべきなのか
といった情報を解読します。
データを送信用の電波に変えることを「変調」
本来の形に戻すことを「復調」と言います。
そして、その情報を元に
日本中、そして世界中の海の底へ敷設された
「海底ケーブル」を通じて世界中に情報を届けます。
ここで初めてインターネットに繋がります。
今回のケースはLINEのメッセージなので、
日本国内のデータセンターにあるサーバーに送られます。
③LINEのサービスサーバーから電波を送る
「今このスマホAからLINEのアプリでこういうメッセージをこの相手のスマホBに送る!」
という電波を受け取ったLINEのサーバーは、
「スマホBを使っているアカウントBへ。
今このスマホAを使っているアカウントAからLINEのアプリでこういうメッセージがきたよ。」
という電波を発します。
するとこの電波がスマホBに送られ・・・ません。
まだです。
まず、「スマホBを使っているアカウントB」へ送られます。
スマホと同時にパソコンで同じLINEアカウントを使いログインすれば
どちらでもメッセージを確認できます。
LINEでいうアカウントは、
LINEのサーバーの中に「スマホBを使っているBさん用のスペース」
を借りているような状態です。
なので、まずBさん用のスペースに電波が送られます。
Bさん用のスペースには
Bさんのアカウントがメッセージを受信した時にどうするか
という設定情報が保存されています。
「スマホBにメッセージが来たことを教えてください。」
という設定をしていた場合、
LINEのサーバーは
「そういうことならスマホBに電波を送る!」
という動きをします。
スマホで通知を受け取る仕組みはもう少し複雑です。
例えばスマホBがAndroid OSの場合、
LINEサーバーが
「アカウントBのスマホBへ、アカウントAからこういうメッセージが来たことを伝えたいんだ。」
と、スマホBの情報が登録されている
FCM(Firebase Cloud Messaging)(旧GCM)
のサーバーへ問合せをします。
するとFCMのサーバはこれを受け取り、
スマホBに通知するために、
「アカウントAからこういうメッセージが来たよ。」
という電波を準備します。
ここでスマホBがインターネットに接続可能な状態で
アカウントBにログインされている状態を確認した段階で、
「アカウントAからこういうメッセージが来たよ、と通知する。」
という電波を送ります。
信号よし、車よし、さぁ横断歩道を渡ろう
みたいな感覚です。
④スマホBでLINEのサービスサーバーから電波を受け取る
一方スマホBはスタバの無料WiFiに接続していたため、
FCMを経由したLINEサーバーからの通知を受け取りました。
そしてスマホBからスタバのWiFiルーター(電波の中継器)に
「今このスマホBからLINEのアプリでスマホAからのメッセージを見る!」
という電波を送ります。
スマホから発する電波を届ける距離が基地局よりもWiFiの方が近いことは、通信速度が速い一因です。
WiFiルーターは受信した電波を
店内のLANケーブル(電波を送る線)を通して
契約している
ISP(Internet Service Provider=インターネットサービス提供事業者)
の交換局へ送ります。
そこからインターネットを通じてLINEのサーバーへ接続し、
「今このスマホBからLINEのアプリでスマホAからのメッセージを見る!」
という電波を届けます。
LINEサーバは
Bさん用のアカウントを確認し、
「あなたはBさんで間違いないね。このスマホAを使っているアカウントAからのメッセージをアプリで見えるようにしておくね。」
という状態にします。
アカウント情報の確認や、よく接続する情報の読み込みを短縮するために
「キャッシュ」や「Cookie」という仕組みもあります。
「出しっぱなし」や「貸しっぱなし」、みたいなことですね。
この段階でスマホBのアプリ上でメッセージが見えるようになります。
また、LINEサーバーは
「アカウントBがアカウントAが送ったこのメッセージを開封したね。アカウントA側のメッセージに[既読] って表示しておくよ」
という動きもします。
他にも、衛星通信を利用するパターンもあります。
ここまでで、
「スマホからスマホへLINE(メッセージ)を送る」
という流れが完結しました。
とても長い時間をかけているようですが、
これを光の速さで行っています。
過程の中で電波の送受信や変調・復調を行うので
その速度は機器の性能や通信環境で変わりますが、
電波自体は約30万m/秒で届いています。
空気中の光や音波といったものは、衝突・拡散・吸収などされて減衰します。
しかし、電波の場合は、遠くまで届けられるように、
例えば「光ファイバー」が活用されています。
インターネットの問題や課題
インターネットの抱える問題、とりわけ
ここではネットワークインフラに関してお話します。
【参考】2021年4月 デジタルインフラを巡る現状と課題【経済産業省】
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital/0002/03.pdf
ネットワークの輻輳(ふくそう)
光を使って情報を瞬時にやり取りできるインターネットにも
限界はあります。
機器が処理可能な範囲を超える通信(電波)が
一度に発生した場合、
機器に異常が起きることがあります。
サーバーのダウン(鯖落ち)は代表的な例です。
DoS/DDoS攻撃のような
悪意ある者により異常が起きることもあります。
このように、機器への過負荷による異常のうち、
ネットワークへ過負荷がかかることを
輻輳(ふくそう)
と言います。
交通渋滞のようなものです。
大きく問題となったのは
Windows10のOSアップデートです。
2015年からマイクロソフト社により
Windows10に向けたアップデート用データの定期配信が始まりました。
日本の多くの会社ではWindowsのパソコンが使われています。
(2023年3月現在で日本全体の約7割)
これまた多くの会社で
インターネットのアクセス制限などのセキュリティ強化のために
「必ずここを経由してからインターネット出てね」
という目的のプロキシサーバーが設置されています。
会社で好き勝手にインターネットを使われては困る!
プロキシサーバーが、会社が決めたルールを元に
代わり(プロキシ)にインターネットへ繋ぎます。
Windowsのアップデートが配信開始されると
会社の中のパソコンたちが一斉に
プロキシサーバーへアクセスします。
ここで、会社の中でネットワークの輻輳が起きます。
続いて、交換局へ向かうネットワークの間で
周囲の他の会社からのアクセスも合流します。
ここでもネットワークの輻輳が起きます。
このWindows 10のアップデートによる輻輳に対しては、
専用のサーバ(WSUS)やP2P通信の活用、
ソフトウェアによるコントロールなど
様々な対策が行われました。
WSUSとはWindows Server Update Servicesのことで、
文字通りWindowsのアップデート管理専用のサーバーのことです。
また、人気のオンラインゲームのアップデート配信時にも
同様の問題は起こっています。
今後も配信データ量の肥大化も組み合わさり、
インターネットと切り離せない問題となりそうです。
iOS | 必要容量 |
10 | 約1.1GB |
11 | 約1.3GB |
12 | 約1.5GB |
13 | 約2.0GB |
14 | 約2.15GB |
15 | 約2.83GB |
ネットワーク機器の老朽化および陳腐化
インターネットを支えている機器やケーブルは老朽化します。
例えばサーバーは耐用年数6年、ルーターや光ケーブルは10年といった感じです。
しかし、この耐用年数というのはビジネス上の会計処理のために
かつて一律で定められたもので、現在は廃止されています。
減価償却費の観点で、会計処理上では現在も認められています。
しかし、機器が問題なく稼働しているかを
人の目やソフトウェアで監視することや、
機器のメンテナンス(保守)をする必要はあります。
また、通信技術が進化することで
使用している機器の陳腐化も起きます。
iPhone 11シリーズは5G通信ができません。
携帯電話用の最初のインターネットサービスである、
「iモード」は2026年にサービス終了します。
ますます拡大するインターネット社会においては、
インフラ側とエンドポイント(利用者)側の両方で
安定的で快適なネットワーク通信環境を維持する必要があります。
「電波」って安全?
最後に、全ての情報は「電波」でやり取りしているとお伝えしてきましたが、
電波が常に飛び交っていると考えると
目には見えないものなので、身体への影響が気になってくる方も要るかもしれません。
結論、電波が人間の身体へ悪影響を与えるという根拠はありません。
電磁波の仲間に「放射線」がありますが、
高エネルギーで別の性質を持つものです。
以下の図がとてもわかりやすかったので引用します。
よって、影響が無いと断言するものではないようですが
人間の身体へ悪影響を及ぼすという根拠は見つかっておらず、
日夜研究が進められているようです。
まとめ
改めて、インターネットの仕組みとは何かを一言でいうと
です。
人に説明する場合、
「全てのIT機器は光の仲間を使って情報のやり取りをしているよ。
光の速さで情報を送受信できるけど、使う機器の性能や通信量の影響は受けるよ。」
というようにお話してみてはいかがでしょうか。
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