GPUとは何？CPUとの違い、グラボとの違いは？性能も解説【わかりやすく/初心者向け】

GPUとは何かを一言でいうと

【画像処理に特化したパソコンの部品】

です。

この記事を読むと、GPUを人に説明できるくらいにざっくり理解できます。大手IT企業の現役社員がわかりやすく解説します！

GPUとは？

GPU=Graphics Processing Unit（グラフィックスプロセシングユニット）=画像処理装置のことです。

似た言葉にCPUがありますが、こちらはCPU=Central Processing Unit（セントラルプロセッシングユニット）=中央(演算)処理装置です。

CPUがコンピューターの中枢を担うのが得意なのに対し、GPUは画像処理が得意です。

CPUが得意なことは「事務処理ソフトを使う」、「インターネットに繋ぐ」、「データを管理する」といったパソコンの最も一般的な使い方です。

GPUはその名の通り画像処理に特化しており、並列で頭脳が稼働して一気に処理します。

どういうことかというと、表示するディスプレイの全てのドット(４Kなら横3,840個×縦2,160個）に対して、指定のタイミングで指定の色（情報）を表示する、ということです。

こうして「表示する」作業を一度に同時並行で行う必要があるので、並列処理と相性が良いということです。

「スーパーコンピューター」と呼ばれる超高性能のコンピューターも、情報処理をGPUと同じ並列ですることで速度を上げています。

グラボ（グラフィックボード）とは？（GPUとの違い）

GPUは画像処理に使用される部品なので、ごく普通のパソコンにも搭載されています。
例：Intel Iris Xe Graphics、Intel (U)HD Graphics

しかし、一般的に言われるGPUは「グラフィックボード（グラボ）」（またはビデオカード）のことを指していることがほとんどです。

GPUは、普通のパソコンの場合、CPUやメモリなどパソコンの基礎部品とともに「マザーボード」という基盤に取り付けられています。

これに対し、GPUや「グラフィックスメモリ（VRAM=画像処理用のメモリ）」、冷却ファンなどの土台としてマザーボードとは分離させ、画像処理に特化させた基盤を「グラフィックボード（グラボ）」と呼びます。

わざわざ分ける理由は、画像処理部分のみの性能向上やトラブル発生時の対処が容易になるからです。それほど、パソコンの動作における画像処理は重要な部分として扱われています。

なぜ広まってきたの？（SNS、eSports、AI開発）

GPUが広く認知されるようになってきたきっかけとして大きく3つの事情が考えられます。

画像・動画編集の一般化（SNSの普及）

スマホが普及するより前は、画像や動画の編集をすることは特殊な機器と技術を持っている一部の人のものでした。

しかし、誰でもスマホで手軽にできるようになったことや、SNSでデータを公開できる環境ができたことで身近なものになりました。

このスキルを高めるためのツールとして、性能の良いGPU（グラボ）を搭載したパソコンのニーズが高まりました。

ゲーミングPC市場の拡大

これまでのゲームといえばPlayStationやNintendo Switchといった「本体＋ソフト」が普通でした。

しかし、オンライン対戦やマルチプレイ、さらにスマホアプリがゲームの常識になってきました。

つまり、より楽しく、快適に、思い通りにプレイするためにはインターネット通信や画像の描画性能を高めるマシンが必要になってきたということです。

そこで注目を浴びたのがゲーミングPCです。

さらにeSportsが有名になり、ゲームの競技性が高まり、ゲームの実況動画配信の人気が高まりました。

そして、新型コロナウイルスまん延による「巣ごもり消費」で、「おうち時間」を充実させる手段の一つとして一般消費者がゲーミングPCを買うようになりました。

AI開発にGPUは必須！

さらに、ChatGPTを始めとするAIにもGPUは深く関係しています。

AIは膨大な量のデータを蓄積させ、学習させ、文章や映像を生成するのが仕事です。
その全ての活動とGPUは相性が良く、まさに必須と言えます。

世界中ではAIを進めるためにGPUの取り合いが繰り広げられています。

GPUに関する問題や課題

高価であること（慢性的な半導体の供給不足）

GPUを取り巻く問題の一つに、高価であることが挙げられます。
IT業界を日頃から悩ませる部材供給不足ですが、GPUも例外ではありません。

主に半導体は慢性的に不足しており、日常生活やビジネスに不可欠な製品ですら供給が滞る場面もあります。
この状況だと、比較的ハイエンド（高性能品）であるGPUは、より部材調達に苦労してしまいます。

例えば、2021年7月発売の人気グラボ「GeForce RTX 3060 Ti」は6万円以上します。（2023年3月現在）

RTX3060Tiを搭載したゲーミングPCの価格はだいたい15万円くらいで、つまり価格の3分の1がグラボです。
そして、最新のRTX 4090になるとグラボだけで約30万円します。

選択肢が少ないこと（NVIDIAとAMDの二強）

グラボの代表的な製品はNVIDIAのGeForceシリーズ（RTX〇〇のこと）とAMDのRadeonシリーズです。
現状ほとんどこの二強の構図です。

これは、CPUでいうところの「IntelのCoreシリーズに対するAMDのRyzenシリーズ」と同じような構図で、
「マクドナルドに対するロッテリア」、「東京ディズニーランドに対する富士急ハイランド」のようなものです。

グラボを購入するときは、ほぼGeForceかRadeonから選ぶことになることになります。
迷うことは少なくなる代わりに、選択肢が少ないことは問題です。

前述の部材確保の問題があることや、開発・生産が容易でないことから業界が発達しづらいことは課題となっています。

GPU（グラボ）を選ぶ時に大事なこと

ここで大事になることは、目的のためにどの製品が適しているかを判断することです。

• プレイしたいゲームに要求されるグラボの性能
• 扱いたい動画編集ソフトに要求されるグラボの性能
• 動画配信などの作業を同時に行う場合に求められる性能

これらを確認した上で、目的に合った製品を選ぶことが重要です。

まとめ

改めて、GPUとは何かを一言でいうと…

【画像処理に特化したパソコンの部品】